教育を受けることは自分自身が幸せになるためにも必要なことです。
ただ…教育を「受けたくない」と考えている子どもたちがいるのが現代の問題となっています。
今回は書籍を参考に、この問題についての考え方をまとめてみました。
ここには簡単には解決できない根深い問題が存在しているように感じたのです。
参考になれば嬉しいです
教育についての義務と権利
子どもたちに教育を受けることは「権利」ですか「義務」ですかと訪ねたら、9割以上は「義務」であると答えると思います。
中学校までは義務教育と言われていることから、そう認識している子どもが多いのでしょう。
ですが、実際に子どもたちにあるのは「教育を受ける権利」なのです。
義務を負うのは親です。
本来権利というものは勝ち取ったらぜったいに手放さずに守り通すものであるはずです。
「人種差別の撤廃」が認められ黒人も白人も平等に評価されるようになりました。
黒人が自ら「やはり私たちは白人の奴隷として生きるべきだ」などと言い出すことはありえないでしょう。
平等に生きられる権利は何が何でも守り通したいものだからです。
そして、それが「権利」というものの本質なのです。
権利を自ら放棄するという考え方は本来ありえないものですから、権利を放棄するものを思いとどまらせるような法律はありません。
ですが、今の子どもたちは自ら進んで「教育を受けたくない」、
つまり「教育を受ける権利を放棄したい」と言っているのです。
これは歴史にも初めてのケースだと言えます。
有効な対処法がないので、子どもたちが教育を受ける「権利」を自ら手放すという行動を防ぐ方法が存在しないのです。
子どもたちが教育から逃走する理由
1.自己有能感や達成感
「全然勉強していないけれど、自信たっぷり」という生徒が今は増えているそうです。
その理由は、書籍にこう書かれていました。
「学校で悪い成績を取ることは人間の価値を高める」という反-学校神話に同意し始めていることがわかったのです。
書籍より
つまり一定数の子どもたちが学びを放棄し、学びから逃走することから自己有能感や達成感を得ているのです。
学校というのは集団(コミュニティ)ですから、このような思想が拡散・伝播していくことも充分に考えられます。
2.教育の先の目標がない
教育を受けた先に目指すべき目標がないことも問題です。
正確には、汚点が目立ちすぎているという問題です。
政治家の汚職・不倫。
さらには子どもでもわかるような大嘘を述べている大人の発言が、連日のように報道されています。
政治家といえば一流大学を卒業して国のために働く…
言ってみれば高度な教育を納めた人だけの職業です。
そんな人たちの問題ばかりが報道されていれば、教育について好感が持てなくなるでしょう。
そして、一般の人はどうかと言えば…
大学を卒業して就職した人でも、家庭を犠牲にして働き詰めの日々を送っている人は多いものです。
子どもたちはそんな「疲弊する大人」の姿も見ています。
教育に対する憧れが見出せないのです。
3.小さなモノサシで世界を測ろうとする
今の子どもたちは生き急いでいる節があります。
子どもながらにして、大人と対等・平等を求めすぎているのです。
例えば、愛用の30センチの「ものさし」で世界のすべてを測ろうとしても、そんなことは不可能です。
世界には何千キロの長さのものがあるだけでなく、光や音のような「別の単位」のものもあるからです。
世界を知るためには、もっと長い「ものさし」だったり、光量・質量・熱量などの単位の存在を知る必要があるのです。
教育を放棄することは、自分の好奇心にフタをしてしまい、
と言っていることと同じなのです。
教育を放棄した子どもというのは、小さなモノサシで測ることができる世界しか見えていません。
その小さな世界でしか自分の存在を認めることができないのです。
とても窮屈で心もとない生き方なのです。
どうすれば子どもに教育を受けたいと思ってもらえるのか
現在の教育の問題は、単に子どもたちの学力が低下しているということではありません。
それが子どもたちの怠惰の帰結であるのではなく、努力の成果である、ということです。
書籍より
この問題は各家庭や学校でどうこうすれば解決するというレベルではありません。
社会のあり方全体にメスを入れる必要があるのです。
ただ、私たち個人でできることもあります。
国や行政に頼り切るのではなく、下記内容のように自分たちでできることから行動していくのが必要になっていると感じています。
子どもと事実で対話する
子どもに教育を受けたいと思ってもらうために、大人の私たちにできることは、事実に基づいて子どもと対話することです。
教育の大切さは、ネットを調べれば参考になるデータや事実はすぐに見つかります。
・現代社会には正規社員と非正規社員の間に明確な差別が存在する
・高卒と大卒の人を比較した場合、高卒のほうが幸福度が低い
・優秀な人ほど本を多く読んでいる
このようなデータや事実を基にして子どもと対話することで、子どもに現実を意識させるのです。
あくまでも現実ベースで対話するのです。
親の願望や常識を盾にして「合理的に説得」しようとするのはNGです。
「学校に行くのが当たり前」
「大卒で有名企業に就職してくれれば親としても鼻が高い」
このような親のエゴが見え隠れすることがあれば、子どもにすぐに伝わります。
大人である親が、本気で対話するために材料を集める努力が求められるのです。
大人が手本を見せることが大切なのです。
注意点としては、教育を放棄するリスクを子どもが「すでに知っている」こともある点です。
社会的地位上昇の機会が提供されているにもかかわらず、子どもたちが自主的にその機会を放棄している点に日本固有の問題があります。
書籍より
事実を知っている子どもに対しては、さらなる方法を試していく必要があります。
当事者意識を身につける
教育を放棄する子どもがいるのは、当事者意識が低いからという理由もあります。
「自分が学びの機会を構造的に奪われた人間になる可能性」を勘定に入れていないのです。
書籍より
戦争や災害で学ぶ機会そのものを奪われた経験がないため、今恵まれた環境にいるということを認識できないのです。
「教育を受ける権利」の大切さを知るてっとり早い方法があります。
子どもたちがアフリカの発展途上の地域に行って、幼い労働者として働く経験をしてみることです。
その上で「どうして教育を受けなければいけないのか?」が分からないのであれば、自分で「労働か教育か」を選べばいいのです。
ただ残念なことに、この方法は現実的には不可能です。
そのため、子どもの対話を通して大人がなんとかして恵まれた環境を認識させて、「教育を受けられる幸せ」を知ってもらうことが望まれるのです。
メディアの表面だけの情報に惑わされない
前述したように、政治家や大人への不信感を抱かせるような報道が毎日行われています。
そして別のメディアでは、小学生のYouTuberが話題になっていたり、一発芸で有名なお笑い芸人が注目されたりしています。
表面だけの情報を鵜呑みにしてしまうと、教育を受けても良いことは無く、むしろ教育以外の努力が実を結んでいるように捉えられがちです。
現実は必ずしもそんなことはありません。
・仕事を誠実にこなして家庭も大切にしている大人も多いこと。
・お笑い芸人は、今の地位を築くために、勉強以上にものすごい練習と努力を重ねてきたこと。
これらの事実を子どもにきちんと教えてあげることが大切なはずです。
メディアの報道に流されないような生き方を教えるのも、教養のある大人の役割なのです。
ちなみにメディアも資本主義の中で仕事をしていますので、利益のある(視聴率のとれる)内容に重点を置いて情報発信します。
不倫や汚職の報道・事故や犯罪の報道が多いのは私たち視聴者が視たいと思う内容だからです。
メディアから教育に対する憧れが見出せない原因は、私たち大人がそう仕向けているからでもあるのです。
お笑い芸人は売れた時だけ発信されて、下積みの勉強や努力しているところは発信されていない。
陰の努力が実を結ぶ実例として役に立ちそうなものですが、メディアでは放送されません。
これも理由ははっきりしていて、「誰も見たくないから」なのです。
教育を受ける場所を限定しない
子どもが「教育を受けたい」という気持ちを持っていたとしても、別の要因で受けられない状態になることがあります。
それは「いじめ」です。
学校でいじめを受けるなどして、学校(教室)に行けなくなってしまうケースもあります。
そうなった時大人がとるべき行動は、無理して学校に行かせることではなく、
できる範囲で「教育を受けられる環境」を提供してあげることだと思うのです。
保健室登校でもいいと思いますし、オンラインでの授業などもあるかもしれません。
このあたりは正直私も詳しくないので、もし知識のある方がおりましたら教えて頂けると助かります。
まとめ。大人がどれだけ本気で毎日に取り組んでいるか
今回は「教育をとりまく現在の問題点と、大人の私たちにできること」について書いてみました。
子どもたちは教育を受けたくない訳ではなく、
なら、身近な大人が見本になってあげればいいのです。
子どもにとって見本になれるのは親であり、そして私たち大人なのです。
私たち大人が毎日に疲れ、家に帰って不機嫌をまき散らすだけの存在であれば、子どもは教育に対して希望を見出せないでしょう。
逆に、大人が生き生きと自分の人生を生き、家でも勉強や趣味に楽しんでいれば、子どもも親の生き方に憧れを抱くと思います。
もし子どもから生き方について聞かれることがあれば、自分が受けてきた教育や受けたかった教育について話せると思います。
その積み重ねが子どもを、そして社会を変えていける原動力になるのではないでしょうか。
私自身は書籍「下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち」からこの記事のような学びを得ることができました。
ですが、この記事で書いた以上に深みのある内容が、本に込められていると感じています。
ぜひ、みなさんにオススメしたい一冊です。
そして教育についていきましょう。
それでは、また!